劇場アニメも大ヒットした『BLUE GIANT』の魅力をご紹介します。
「ジャズってよくわからない」という方にもオススメの作品です!
▶️動画でもご紹介しています!
BLUE GIANTとは
著者:石塚真一
BLUE GIANTは、青年コミック雑誌「ビッグコミック」で連載されているジャズの漫画です。
漫画家は『岳 みんなの山』を描かれた石塚 真一先生。story directorとして、担当編集者でもあるNUMBER 8さんが入られており、二人三脚で創られている作品となります。
3シリーズ刊行されており、3シリーズ目は連載中です!
作品名 | 連載期間 | 既刊巻数 | ステータス |
---|---|---|---|
『BLUE GIANT』 | 2013~2016 | 全10巻 | 完結済み |
『BLUE GIANT SUPREME』 | 2016〜2020 | 全11巻 | 完結済み |
『BLUE GIANT EXPLORER』 | 2020〜 | 8巻(2023.3中旬時点) | 連載中 |
待望の映画化!
「音が聴こえる漫画」と評されてきた本作ですが、ついに2023.2.17、劇場版アニメ映画が公開されました!
監督は、『名探偵コナン ゼロの執行人』などを手がけられた立川 譲さんです。
私も、2回(1回目は普通の映画館で、2回目はDolby Atmosという音響が高性能な映画館で)観に行ったのですが、とてもとても良かったです!
BLUE GIANTは良いエピソードが多すぎるため「テレビアニメ化」の話もありましたが、原作者と監督との間で、
ジャズのライブ感は映画館の大音量で聴いてこそ!
確かに……!
というやりとりがあり、映画化することになったそうです(大正解!)。
原作者や監督の思惑通り、2時間ジャズのライブを聴いているような幸せな感覚でした。
特に、Dolby Atmosでは、ピアノの鍵盤を押し込み話す音や、シンバルやブラシでスネアをこする細かい音まで聴こえてきて、ライブシーンだけでなく劇中曲にも感動していました。
映画音楽
映画で使用している音楽はすべて、世界的に有名なジャズピアニストである上原ひろみさんが手がけられました。
上原ひろみさんが引き受けてくださってほんまによかった!
また、本作は、テナーサックス・ピアノ・ドラムの3人組のジャズバンドが物語の中心にいるのですが、彼らの演奏も一流のミュージシャンが担当され、説得力のある音楽映画になっています。
楽器 | ミュージシャン | 役名 |
---|---|---|
テナーサックス | 馬場 智章さん | 宮本 大 |
ピアノ | 上原 ひろみさん | 沢辺 雪祈 |
ドラム | 石若 駿さん | 玉田 俊二 |
10代の登場人物に少しでも近づけようと、お三方とも「わざと下手に」とか、いろいろ演技を工夫されたそうで、その加減が素晴らしかったです。
特に、「ドラム・玉田役」の石若さんがすごい!
「玉田」はドラム初心者からどんどん練習して上手くなる人なんですが、映画冒頭の素人具合や演奏のズレ具合が絶妙でした。
演奏中、ロストした時の入りたくても
入れない感じとか、リアルすぎて震えました
また、漫画に登場する曲『N.E.W.』の楽譜通りのメロディが実際に聴こえてきた時には感動しました!
BLUE GIANTのあらすじ
BLUE GIANTは、主人公の宮本大が「気持ち、感情の全部を音で言える、世界一のジャズプレイヤーになる」ことを夢見て、日夜、テナーサックスを演奏しまくる物語です。
中学を卒業する間際、同級生に連れられ、ジャズ喫茶を訪れたことで、ジャズに魅了された大は、楽器を手に入れた直後から、毎日河原でサックスを練習しはじめます。
このサックスを手に入れた話もめっちゃえんよね。
映画では時間の都合上カットされちゃってるけど
サックスを手に入れた話
大は、兄と妹がいる三人兄弟なんやけど、お母さんを早くに亡くしてるから、お兄ちゃんは高校卒業後すぐに働いている人なんよね。
このお兄ちゃんが、初任給を使って大にサックスを買ってあげます。
サックス吹いてみたいからバイトするんだ
初任給で、買ってやるか
サックスって高いから、安くて10万、平均で20~30万くらいなんよ。
お兄ちゃんの初任給の残高が127,000円。一番安いのしか買えんかなーと思ったら、お兄ちゃんが言ったのは、
この店で一番いいやつをください
でした。
セルマーっていうメーカーのサックスで値段はなんと、51万6,000円!
36回ローンで、2年半かけてローンを払い切るんよね。毎月15,200円。弟のために払って、完済した後、お兄ちゃんが言った言葉が、
チョロいもんですな!
かっこよすぎるやろ!!
大が初心者でも熱心に練習を続けたのは、きっと「お兄ちゃんが買ってくれたから」っていう気持ちもあったはずやと思うわあ。
師匠・由井との出会い
大は、高校でも中学と同じバスケ部に入っとって、ブラスバンドとかはしてないんよね。
楽譜も読めんけど、ひたすらCDを聴いて、歴代のサックスプレイヤーの演奏を真似します。
だれも教えてくれる人がおらんかったから、自然と、拭きたいなら真似るしかないっていう環境だったんよね。
そんな状態で一人河原で吹くこと、約2年。
人と人との繋がりがあって、地元・仙台で音楽教室をしている一人のオジサン・由井と出会います。
この由井は、バークリー音楽院っていう、アメリカ・ボストンにある(実際にあるよ!)、ジャズをする人なら昔はみんな行っていたような音大を卒業してる人なんやけど、自分の才能に限界を感じて、地元に戻ってきた人なんよね。
技術はある。大よりもちろんうまい。けど、そんな由井が言うんよ。
「上手い」のはゴマンといる。
オレの音は良くても感動。
けど、大の音は……
人を「圧倒」できる音だ
まだ、楽器を初めて二年半。まだまだ下手っぴな大やけど、この「人を圧倒する音」を出す才能は持っているってことですね。
東京進出
由井に半年くらい習って、基礎の基礎を身につけた大は、お金も頼るところもないけど、
ジャズをするなら東京だ!
と言って、高校卒業後、東京に出てくるんよね。
ここからは、映画でも描かれとるから、ぜひ、観ていただきたいです!
ちょっと改変されとるところとか、大の恋愛や家族とかカットされとる部分もあるけど、担当編集者でstory directorでもあるNUMBER 8さんが脚本を手掛けとるから、全く違和感なく観ることができました。
東京で一緒にバンドを組む「ピアニスト・雪祈」と、ドラムを始めた「仙台の同級生・玉田」の物語もえんよね。
世界一のジャズプレイヤーになりたいし、
なることを一切疑っていない大
幼い頃からピアノを続け、
貪欲なまでに音楽で勝つことにこだわる雪祈
大学に入ったはいいけど夢のキャンパスライフではなく、
何か打ち込めるものが欲しかった玉田
シリーズ1作目の『BLUE GIANT』は、この3人で組んだバンド・JASSの物語です。
短いからこそ濃密な時間
BLUE GIANTは、時折、未来でインタビューを受けている人の場面が入ってくるんよ。
世界的に有名になった宮本大の特集番組を撮影している感じなんやけど、そこで玉田は将来、サラリーマンとして働いていることがわかります。
JAZZは、ずっと同じ人とバンドを組むってことはなくて、いろんな人と演奏するのが普通なんやけど、有限だからこそ濃密な時間の中で、互いに刺激を与えながら成長していく様子が最高です。
宮本大の挑戦
著者:石塚真一
著者:石塚真一
著者:石塚真一
宮本大の世界一を目指す物語はまだ続いとるから、未読の方はこれを機にお手に取っていただけると嬉しいです。
3巻の巻末のおまけ漫画で、作者と編集者が、上原ひろみさんを聴きに行ってたりとか、
7巻の巻末で、「チョーチョー!有名な!」あの、ハービー・ハンコック(ピアノ)とウェイン・ショーター(サックス)のインタビューが載っていたりとか!
ウェイン・ショーターは、この間、2023年3月2日に亡くなってしまったんやけど……。
それを踏まえてもより貴重なインタビューよね。
こういった単行本ならではの楽しみ方もあるので、映画を観て、単行本も買って読んでみてください!
そして、実際のジャズのライブにも足を運んでいただけるようになると、ジャズが大好きな私としては、嬉しいです!
まとめ
最後まで、ご覧いただきありがとうございます!
以上、BLUE GIANTの紹介でした。
ジャズって、オシャレ・大人の音楽だからとか、歌がないからとか、敷居が高いと思われる音楽かもしれんけど、ほんまもんの生演奏を見たら、きっと大のように衝撃を受けると思います。
ジャズって一口に言っても、歌が入っているものもあるし、スウィング、ビバップ、ビッグバンド、フュージョン、ファンクなどなど、無数のジャンルがあるから、ぜひ色んな曲にチャレンジしてみてほしいです。
スウィングはよく分からんけど、ファンクは好きとかきっと人によって好みも違うと思うので。
ジャズは、耳の肥えたジャズファンだけのものではなくて、誰でも聴ける自由な音楽ってことが、伝わっていれば嬉しいです。
他にも、漫画や小説をご紹介しておりますので、あわせてご覧ください。
また、YouTubeでも、書籍の紹介やジャズの解説などをおこなっています。
フリーアトリエ晴星(YouTubeチャンネル)
いちど、ご視聴いただけると嬉しいです☺️