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【2022年冬劇場アニメ化】辻村深月著『かがみの孤城』の魅力をご紹介!

サムネイル かがみの孤城 小説
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今回ご紹介する書籍は、辻村深月さんの『かがみの孤城』(ポプラ社)です。

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あらすじ

あなたを、助けたい。

学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた―― なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。

https://www.poplar.co.jp/pr/kagami/

作品の魅力

2018年の『本屋大賞』に選ばれ、2022年冬には劇場アニメ化も果たした本作。

『かがみの孤城』の配信一覧

多くの方に読まれている魅力とは、一体何でしょうか。

それは『登場人物の心象描写がリアル』、この一言に尽きます。

決して難しい言葉は使われていません。どちらかといえば簡単な、それこそ主人公たちと同世代の中学生でも読める文章で書かれています。

登場人物

では早速、登場人物からご紹介します。

最初にご紹介する7人が、タイトルにもなっている「城」に招待される中学生たちです。

  • 安西こころ
    • 本作の主人公。
    • 中学1年生の女の子。
    • おとなしい性格で、あることをきっかけに中学校に行けなくなってしまった。
    • ある日、自分の部屋にある大きな姿見が光り、「城」に招待される。
  • アキ
    • 「城」に招待されている中学3年生の女の子。
    • 明るく快活で、背が高い。
    • ポニーテールがトレードマーク。
  • リオン
    • 「城」に招待されている中学1年生の男の子。
    • 整った顔立ちをしている男の子。
    • ジャージ姿が多い。
  • スバル
    • 「城」に招待されている中学3年生の男子。
    • ひょろっと背が高く、色白で『ハリーポッター』のロンに似ている。
  • マサムネ
    • 「城」に招待されている中学2年生の男の子。
    • ゲームばかりしている生意気そうな男の子。
    • 分厚いレンズの眼鏡をかけている。
  • フウカ
    • 「城」に招待されている中学2年生の女の子。
    • おかっぱ髪に眼鏡、声優のような高い声が特徴的。
  • ウレシノ
    • 「城」に招待されている中学1年生の男子。
    • 小太りで、気弱そう。
    • 惚れっぽい。
  • オオカミさま
    • 狼のお面をつけた小学生低学年くらいの女の子。
    • いつもピアノの発表会のようなドレスを着ている。
    • 7人を「願いの部屋がある城」に招待した人物。
  • 喜多嶋 晶子
    • フリースクール『心の教室』の先生。
    • 短髪がよく似合う、活発的な印象の綺麗な人。
    • 目が優しく、こころは初対面から好印象を抱いていた。
  • 東条 萌
    • こころの家の二軒隣に引っ越してきた、同級生の女の子。
    • ハーフのような顔立ちをしていて、目立つ存在。
    • 父親が児童文学の教授で、家には多数のアンデルセンやグリム童話などの挿絵がある。
    • こころが学校を休むようになってからも、事務的に毎日のようにプリント類を届けに来る。
  • こころの母
    • スクールの喜多嶋先生や中学校と連絡を取り合い、こころのことを真剣に考えている。
  • 伊田先生
    • こころの担任。
    • まだ若い男の先生。
    • クラスの女子から「イダ先」というあだ名で呼ばれている。
  • 真田 美織
    • 中学1年生の女の子。
    • こころを苦しめている張本人。

オオカミさまからの課題

5月、オオカミさまによって「城」に招かれた彼・彼女らは、ある課題を出されます。

3月30日までに、「入った人の願いが一つだけ叶う願いの部屋」の鍵を、城の中から探し出すこと。

課題のルールと参加者の共通点

この課題には、いくつかのルールがありました。

  • 願いを叶えられるのは、鍵を見つけた「ひとりだけ
  • 願いの部屋」が開いた時点でゲームは終了し、3月30日を待たずして城は閉まる
  • 毎日、城が開くのは日本時間の「朝9時から夕方5時まで
  • 5時を過ぎても城に残っていた場合、その日城に来ていた全員が「狼に食われる

3つ目のルールで勘の良い方は気が付くことでしょう。

彼らが、学校に行っていないことに。

彼らは中学生ですが、学校には行っていません。

最初に集められた時点でお互いそのことに気が付きながらも、誰も口には出しませんでした。みんな、そのことに触れられたくないのです。

主人公こころ

物語は、主人公・こころの一人称で進んでいきます。
こころは臆病な性格で、最初は突然現れた「城」の入り口に入ろうともしませんでした。

しかし、そんな彼女にも叶えたい願いがあったのです。

――真田美織が、この世から消えますように。

引用元:『かがみの孤城』本文より

ストレートな言葉です。静かな怒りが感じられる言葉です。

真田美織とは、こころが不登校になった原因を作った人物でした。

はじめは、この願いに背中を押されるようにして「城」を訪れたこころでしたが、他の招待者と接していくうちに、「城」が心地のいい場所となっていきました。

作品の魅力

不登校になった理由はさまざまですが、作中でこころが語っているように、「城」の中の誰もが普通の中学生となんら変わりありません。

おしゃべりをするし、ゲームをするし、お菓子を食べるし、恋もします。

だからこそ、彼らを身近に感じ、感情移入してしまうのでしょう。

私は、こころたちもですが、特に「こころの母親の心情がリアル」だと思いました。

突然、娘が不登校になってしまう。理由を聞いても答えてくれない。優しくしたいのに、つい、いらぬ言葉が出てしまう。こころの目線で書かれているのですが、そんな母親の気持ちがひしひしと伝わってくるのです。

言葉にされなくとも態度で相手の気持ちを悟ってしまうことがありますが、まさにそのようなリアルなやり取りが描かれています。

本屋大賞にふさわしい一冊

各月ごとに章立てされており、3月という終わりが見えているため、どんどん読み進めていきたくなります。

特に、第3部――3学期のスピード感は凄まじく、そして、ラストは涙必死です。「ああ、そういうことだったのか」とすべてが繋がっていきます。

こころたちが何を考えどういった選択をするのか、ぜひ、あなたの目で見届けてください。

まさに、本屋大賞にふさわしい一冊です。

最後まで、ご覧いただきありがとうございます!
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この記事を書いた人
駿河 晴星(Suruga Sei)

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