『流浪の月』
2020年に第17回本屋大賞を受賞した『流浪の月』は、続きが気になりすぎてページをめくる手が止まらなくなる小説。「被害者」「加害者」という枠組みを超えた人間関係を描いた衝撃作。まとまった時間を確保してから読み始めることをお勧めします!
今回紹介する作品は?
こんにちは! 本が大好き・晴星(せい)です。
今回紹介する『流浪の月』は、2020年に第17回本屋大賞を受賞した凪良ゆうさんの長編小説です。
2022年には広瀬すずさん、松坂桃李さん主演で実写映画化もされました。
うっかり仕事前に読み始めてしまったため、その日は続きが気になりすぎて仕事中もなかば上の空に。予備知識が皆無の状態で読み始めたのですが、本作ほど続きが気になって次へ、次へとページをめくりたくなる本は久しぶりでした。
あらすじ
プロローグとしての第1章では、あるファミリーレストランでの様子が語られます。
まず、大人の男女と女学生の会話に焦点が当てられて、女学生が友達からの電話を取るため離席したところで、隣の席にいた男子高校生のグループに焦点が移ります。間に挟まる、コーヒーを注いでまわるホールスタッフの描写。
男子高校生たちは、昔起きた男子大学生による9歳の女児誘拐事件の動画を観ており、携帯電話からは、『ふみいいい、ふみいいい』と幼い女の子の泣き声がもれ聞こえています。
第2章以降は、第1章より過去のお話になりますが、さて、このプロローグにはどのようにつながってくるのでしょうか。
本書の3つの魅力ポイント
- 続きが気になって仕事も手につかなくなる引き込まれる文章
- 「被害者」と「加害者」という枠組みを超えた、深い人間ドラマ
- 本屋大賞受賞作にふさわしい、人間の本質に迫る物語展開
感想(ネタバレなし)
まず初めに言わせてください。本作を読む場合は、まとまった時間を確保してから読み始めることをお勧めします!
予備知識が皆無の状態で読み始めたのですが、本作ほど続きが気になって次へ、次へとページをめくりたくなる本は久しぶりでした。
仕事前に読み始めてしまったため、その日は続きが気になりすぎて仕事中もなかば上の空でした。それほど引き込まれる物語なのです。
凪良ゆうさんの文章は静かに流れるようでありながら、しっかりと読者の心を掴みます。とくに登場人物の心情描写は繊細で、現実の人間のような複雑さを感じさせます。
本屋大賞を受賞し、映画化もされた話題作ですが、その評価に恥じない作品だと感じました。
※以降は、ネタバレありの感想を書いております。未読の方でお話の内容を知りたくないという方は、こちらでUターンをお願いいたします!
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感想(ネタバレあり)
映画について
まず、映画については観にいけていません。もちろん、映画化されること、上映が開始されたことは把握しており、予告映像も観たのですが……。
小説原作の場合、いつも映画を観ると「原作が良かった」となってしまい、特に『流浪の月』は小説だからこその空気感といいますか、雰囲気が好きだったもので、足を運べなくなってしまいました。キャストも素晴らしい方ばかりですので、映画は映画できっといいとは思うのですが。
更紗の子ども時代
更紗の子ども時代は、自由で幸福な両親との生活から一転、不自由な周りの常識に合わせなければならないものへと変わります。
それでも、文と暮らした2ヶ月間までは、明るさを感じました。大人パートと比較すると余計に。
寝坊して、布団を敷いたままデリバリーしたピザを寝っ転がりながら食べて、バイオレンスな映画を観る。我慢がきらいで周りの目を気にしない。「浮世離れした……」と揶揄されていた両親との暮らしを、教育ママに育てられた文の生活に放り込んでいく更紗は、子どもらしく自由で読んでいて気持ちが良かった。
だからこそ、文が捕まった時やその後の展開は、「何も知らないのに」と、同情する世間の声がわずらわしくてたまらないと思いました。テレビやネットニュースの情報に、どれほど踊らされているのでしょう。直接話を聞いたはずの警察もカウンセラーも、更紗の本当の想いを聞くことはなくて、ストックホルム症候群という名前のついたパターンに当てはめてしまう。
最近では、有名人がYouTubeなどで個人の声を発信する機会が増え、事実と異なる情報はご本人の口から否定されるようになりました。それでも、その人のファンでなければ、そういった声もわざわざ聞きにいかないわけで、やはり大多数の人は、2、3分で読める簡単な記事の情報を信じてしまっているのだろうと思います。情報過多ゆえに、短く容易なものが好まれるのでしょうか。
大人パート
大人パートになっても、一番近いはずの恋人ですら更紗の本心を理解していなくて(更紗自身が過去の経験から話していないということも原因ですが)、「被害者」という、これも一言で片付けられてしまうパターンに当てはめられて他人に見られる生活を送っている彼女が、音も色も無い世界にいるように感じました。
実際、更紗のような人が自分の周りにいたとしても、本作を読みながら感じたことには気が付きもせず過ごしているのかもしれません。過ごしてきたのかもしれません。しかし、改めて、人にはいろいろなバックボーンがあって、どういった体験をしてきたか、どう感じているか・感じていたかは、本人の口から聞かなければ分からないのだ、ということを覚えておこうと思いました。
文の真実
物語が9割ほど過ぎて、ようやく文目線の物語が語られるわけですが、疑いもなく彼はロリコンだと思っていたので(なんだか、この言い方すごく気が抜けますね)、実は、思い込もうとしていただけなんだよ、とここで明かされて驚きました。と、同時に、あの2ヶ月間の文の行動や心情の描写が腑に落ちました。「動物園!? 絶対ダメでしょ!」と1人で突っ込んでいたので。
なんやかんやあって(ストーリーの大部分を端折りますが)一緒にいることになった更紗と文。私的に大満足のハッピーエンドでした。2人は、夫婦でも恋人でもパートナーでもないですが、会話をして、一緒にご飯を食べたり旅行に行ったり、笑ったり泣いたりして過ごす男女が必ずしも夫婦や恋人やパートナーでなくてもいいと、私もそう思っています。一緒にいる人。それだけで十分ではないかと。
更紗と文が営むカフェに行ってみたいなあ。
凪良さんの文章はとても心地良かったので、他の作品も読んでみたいとも思いました。また、好きな作家さんが増えて、嬉しい限りです!
こんな人におすすめです!
こんな人には向かないかも……
著者・凪良ゆう さんについて
凪良ゆうさんは、この『流浪の月』で2020年に第17回本屋大賞を受賞し注目を集めました。
繊細な心理描写と独特の文体で、読者の心を掴む手腕は多くの読者から高く評価されています。
『流浪の月』は映画化もされ、より多くの人に作品が届けられることになりました。
『わたしの美しい庭』で山田風太郎賞候補に選出、『滅びの前のシャングリラ』で2年連続の本屋大賞ノミネートを果たします。その後、『汝、星のごとく』にて第20回本屋大賞と第10回高校生直木賞を受賞しました。
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