詩・SS

【SS】違和感

創作ショートショート「違和感」のサムネイル 詩・SS

 いつからだったか私は、違和感を覚えるようになった。
 
 人間として接しているときはいい。男と女。性別というフィルターを通してみられるとき、私はひどく違和感を覚える。男と女が恋をして、結婚をして、子どもを産むのが当然なのだと、正しいのだと、そうしなければならないという考え方が、どうしても受け入れられない。
「A子ちゃんと、Bくんはきっと気が合うよ」
「二人はお似合いだと思う」
 聞きたくない。なぜひとりでいてはいけないのか。ひとりでいる人に対して相手を見つけようとするのか。そうすることが、なぜ自然だと思っているのか。
 生物として正しいのだと思う。自分が少数派であることは自覚している。昔にも私みたいな人はきっといただろう。ただ、そうした人が子孫を残すことはない。だからずっと、少数派。
 生まれた子どもに罪はない。幸せになってほしいと思う。けれども、いい加減、この連鎖を止めてもいいのではないか。この世に、もうすでに、いくらでも苦しんでいる人はいるのになぜせっせと増やそうとする? その時の感情で、自分が寂しいからとなぜ増やそうとする?
 最後の一人にならないからそんな勝手のことが言えるんだ。そうかもしれない。飢えの苦しみもしらないから、勝手なことが言えるのかもしれない。でも、誰だって苦しいのに。なぜ産み落とそうとするのか。
 どうか当たり前だと思わないでほしい。幸せの手段だと思わないでほしい。その価値観を押し付けないでほしい。男と女の区分けでみないでほしい。私はただ、人間として生きているだけだ。
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